Allen suwaruプロデュース公演、舞台『いい人間の教科書。』2021年新作公演が12月22日(水)〜26日(日)に東京・新宿FACEで行われる。
同舞台は、小さな空間に閉じ込められた人物たちが「いい人間1人だけ解放される」という指示のもと、自身の罪や過去と向き合い、「いい人間とは何か?」を議論する全編エチュードの会話劇。
2019年、2020年に4人構成で上演されたが、今回は初の“5人目”が登場する。演出・脚本は引き続き鈴木茉美、キャストは財木琢磨、富本惣昭、磯野大、宮城紘大、大平峻也。
2.5ジゲン!!では財木琢磨、磯野大、大平峻也の鼎談取材を実施した。笑いの絶えない明るい取材風景をぜひ体感してみてほしい。
磯野、“今をときめく”俳優陣と共演に感謝
――同世代の俳優とエチュード劇で共演する心境はいかがですか?
財木琢磨(以下、財木):年齢とかではなく、人柄や相性の方が大切かな? 感覚的な話になってしまうんですけど、「あ、この人と話し合うな」ってなると、お芝居もやりやすかったりします。
大平峻也(以下、大平):確かにそうですよね、稽古が始まると段々と見えてくると思うんです、きっと。自分の引き出し方もそうだし、周りの引き出し方も稽古を通して見えてくる感じですね。
――財木さんと大平さんは全編エチュードの舞台は初ですか?
財木:今回のテーマのようなものは初めてに近いかな?
大平:僕も番組とかではありますが、シリアスな題材の舞台でのエチュードは初です。だから今まで笑いとかに逃げて、上手くかわしていたものが、今回は通用しないのではないかなと。鈴木さんは役者から生まれてくるものを優先してくださる演出家さんだと思うので、しっかりと向き合いたいな、と思います。
――磯野さんは3回目の出演となりますが、回を増すごとの変化や発見があればお聞かせください。
磯野大(以下、磯野):そうですね、人が変われば当然考え方も変わります。前回は30代の方もいらっしゃれば同じ20代の方もいました。今回は割と世代が近いんですよね。あ、一人(富本惣昭さんは)19歳ですが…。
財木:え、彼、19歳だったの!?
磯野:2002年生まれだって。
大平:若い!
磯野:超フレッシュです。
一同:(笑)。
磯野:アラサーと19歳…「ムシキング分かる?」なんて聞いても分からないかも知れないし。
財木:そこはさすがに分かるでしょ(笑)。
磯野:(笑)。世代が違うと笑いの感覚も違ってくると思うんですよね。その他の感覚とかもそうなんですけれど。そういった新しいものが本作に加わってくるというのは、毎回すごく楽しみです。
あとは、そうですね、なんてったって今をときめくこんなにも素敵な方々とご一緒できるわけですから。
大平:ちょっと!?
磯野:なのでね、ほんとに嬉しいです。これは毎回(の公演で)思っていることなんですが、引き受けていただいて、そして共演させていただけて感謝しております。
財木:上手くまとめようとしないで!?
一同:(笑)。
――演出・脚本の鈴木さんと本作についてすでに何かお話しをされていますか?
大平:まだ何も。これからですね。磯野さん、今日のこの感じ、絶対偵察に来ていますよね?
磯野:いやいやいや! 違いますって!(笑)
財木:どんなふうになっていくのか楽しみですが、鈴木さんに「あいつヤバい奴だった」って思われないようにしないと…。
磯野:そんなことないですからっ! 大丈夫ですからっ!
一同:(笑)。
磯野:ご来場いただく皆さまには、ここからどう組み立てられていくのかを楽しみにしていただきたいですね。
もしも別の人生を歩むとしたら…?
――本作のテーマにちなんで。もし今とは全く違う境遇に生まれ育ったら、どんな人生を体験してみたいですか?
大平:僕がこのお仕事を初めたのが中学校1年生くらいの頃だったんですけれど。その時に夢の中で、高校へ進学して大学に行って、家庭を持って子供がいてっていうのを見たんです。一晩のうちに。目覚めた時に「今回の人生はこれじゃない」と思って、すぐに今の事務所へ応募したんです。
だからこそ、もし自分が生まれ変わるということができたなら、家庭を築いて、その人生での幸せな道を歩んでみたいなと。もちろん、この(今の)人生で良かったと思っていますけど、普通に友達と原宿に出かけたりだとか、そういうのは憧れます(笑)。
財木:正直な話をすると、役者になる前は、動物に関わる仕事をしたいと思っていたんです。動物園や獣医さんだとか。動物がずっと好きだったんですよね。もしくは警察官になりたいなと考えてた時期もあったり。今思うと両方公務員ですね。でも当時、学校の先生に「財木くん、無理だなぁ」って言われて、「あ、俺、無理なのかぁ」って思って。
大平:先生…冷たい!
財木:もしその2つのうちどちらかの道を歩んでいたらどうなっていたのかなって…あ! あと芸能界に入る前には油揚げ工場で働いていたりしたんです。
ここに立つまでに色々な経験があるからこそ今の僕があるわけですけど、その経験があったからこそ、芸能界に入ってなかった場合の色々な道…もしかしたら進むかもしれなかった別の人生ってどうなんだろうっていうのは、これまでに考えたことはありましたね。漠然とですけどね。
油揚げ工場に入った理由は、先生に「財木くんここがいいんじゃない?」って言われたからなんですけど(笑)。
大平:立派なお仕事ですから! 僕、きつねうどん美味くいただいてますよ!
一同:(笑)。
財木:あの当時、朝から大豆をすりあげていたんですよ。こんなでっかいホースを持って、室温50度くらいのめっちゃあっちぃ中で!
――ということは、ファンの皆さんはもしかしたら財木さんが作られた油揚げを召し上がっていたかも知れないってことですね。
財木:そうですね、たしかに! スーパーで買ってくれていたかもしれない。
磯野:お2人ともすごすぎません? こうやってお話を聞くとやっぱり社会経験はしておいた方が良かったなぁと思いますね。
僕、母が銀行員で、父親が美容師なんですけど…。
財木・大平:ええっ!
磯野:ホントにね、「どこで出会ったんだろう」ってね(笑)。そんな母が一時期占いにハマっていて。占いの先生に「息子が芸能やるって言ってて…」と相談したみたいなんですよ。
そしたら「やめたほうがいい。向いてない。」って即答で!
一同:(笑)。
磯野:「この子は多分、感情を込めてセリフを言えないよ」って。
財木:そんなバッサリ言う!?
大平:そ、そんな…!
磯野:この世界に入った当初からモデルをやっていたんですけど、もともと「25歳までにこの道で食べていけなかったら芸能活動を辞めよう」って考えていました。今の事務所の來河(侑希)に拾ってもらったおかげで、役者というお仕事をさせていただいているんですけども。
口だけにはなってしまうんですが…もし25歳の僕が芸能界から離れていたとしたら、それでもきっと人と関わるお仕事をしていたと思うんです。父のように美容師に憧れた時期もありましたし、何か別の接客業だったかもしれない。いずれにしても人と人との間で何かが生まれる職業に就いて、新しい出会いや経験をしてるような気がします。
ただね、僕、以前2.5ジゲン!!さんの別の取材でもお話させていただいたと思うんですけど、社交性がないんです。
大平:え! そんなことないですよ。
磯野:無理してるんですよ。
財木:え!? 今も!? 分かりづらっ!!
磯野:(笑)。だって俺今、本当に財木くんと大平くんがすごいと思うもん。初対面なのにこんなに話してくれて、こんなに懐を開いてくれて…。
一同:(笑)。
ファンへのメッセージ
――では最後にファンの皆さんへ向けたメッセージをお願いします。
財木:やる気は充分です。タイトルを拝見した時から面白いものになるな、と確信しております。エチュードなので、その時その時に生まれる感情が、5人の役者によってさらに化学反応を起こしていくと思うので、それを見に来るお客さまに感じ取っていただきたいです。
きっとエチュードって見ている側も力が入ると思うんですよね。おそらくハラハラする感覚からきているのかな。その感覚が『面白い』っていう方向に繋がっていってくれたらいいですね。そして僕たちは「楽しみにしていてください!」って言うしかないな、と思っています。2021年を締めくくる舞台となるので、ぜひ皆さまもこれが年内最後の舞台の思い出にしてください。お読みいただきありがとうございました。
大平:まだ“自分の罪”というのを鈴木さんからお聞きしていないのですが、本作は全編エチュードということで、僕自身すごく挑戦であり楽しみに感じています。大枠の流れがあったとしても、エチュードなのでやはり毎公演、毎公演、違ったものを見ていただけると思います。
クリスマスが公演にかかってくるということなので、華やかなクリスマスも素敵かもしれませんが、本作を通して、これからの人生を考えられるような、そんな特別な日を一人でも大切な人とでも、体感してみてもいいのではないでしょうか。2021年の最後に自分の人生のヒントや課題を持って帰っていただけたら嬉しいです。頑張りますので楽しんでください! どうぞよろしくお願いいたします。ここまで読んでいただきありがとうございます。
磯野:『いい人間』とは−−このテーマは答えを見つけるのがすごく難しい。けれど、フレッシュな4人と僕を含めた計5人のキャスト、そして演出の鈴木茉美さんとギリギリまで考えながら作っていきます。
年末公演ということで、本年のラストを飾る舞台としてぜひ皆さまに素敵なものをお届けしたいです。すごくストイックで魅力的でたくさん考えを持ってらっしゃる方々なので僕自身も楽しみながらいい形にして皆さまにお届けできたらなぁと思います。ぜひ本番まで楽しみにお待ちくださいませ!
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3人が一堂に会するのは本取材日が初。だが、そうとは思えないほどにすでに打ち解けている様子がインタビューを通して感じ取れた。ここからどのように本作が作り上げられるのかが今から楽しみで仕方がない。
舞台『いい人間の教科書。』最新作は12月22日(水)より東京・新宿FACEで開幕。きっと過去作品とはまた違った衝撃が待ち構えているはずだ。
撮影・取材・文/ナスエリカ
※記事初出時から一部修正いたしました。
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