インタビュー

木村昴×赤間直哉、弾ける演劇への想い コロナ禍で探った「天才劇団バカバッカ」のポテンシャル

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木村昴が座長を務める劇団・天才劇団バカバッカの約2年ぶりの公演『ヴァンダフルワールド』が10月28日(木)に東京・こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロで幕を開ける。

2.5ジゲン!!では木村昴と同作で初めて劇団公演の演出を担当する赤間直哉に対談取材を実施。高校時代からの親友という2人に、同作の見どころや天才劇団バカバッカが目指す世界、コロナ禍での挑戦などを語ってもらった。

悔いが残った10周年公演をリメイク

ーーまずは2年ぶりの公演、おめでとうございます!

木村昴:ありがとうございます! いや〜嬉しいですね。なかなか舞台公演ができず、再開するタイミングを見失っちゃって、大変な2年間だったので。

−−そんな中、このタイミングで上演を決めたのはなぜでしょうか?

木村:コロナ禍になってから、「僕らは早く(公演を)やりたいけど、今(演劇を)観たいと思ってくれているのかな」って何度も自問自答を繰り返していました。でも、オリンピックが開催されたのを観て、シンプルに感動して、演劇の火を絶やさないためにも「こういう状況でもできることがある」って証明したいなと思ったんですよ。

−−2年ぶりとなる今回の公演。10周年記念作品『DAWN DAWGS~朝焼けの旅路~』のリメイク版にしようと思ったのはなぜですか?

赤間直哉:『DAWN DAWGS~朝焼けの旅路~』は、僕らとしても非常に思い入れが強い作品だったので「この世界観でやってみようよ」っていうところから話が始まりました。

木村:実は僕ら10周年記念公演を、やり切った感がないんですよね。悔いが残る公演になっちゃったというか…。

−−なぜですか?

木村:街に宣伝のトラックを走らせたり、僕らとしてはド派手にやりたかったんですけど、台風19号が来ちゃって…

赤間:そうそう。公演の半分が中止になっちゃったんですよ。

木村:自信作で挑んだが故に、悔しかったんですよね。それで「2020年にリベンジしたいね」って準備していたら、コロナ禍になってしまってできず…。だから、物語とタイトルを今の世界にあった内容に変えて、一緒のキャラクターで心機一転新作として見てもらうことにしたんです。

−−あらすじを見ると重い設定なのかなと思いつつ、公演案内で“ヴァンパイアハートフルコメディ”とも書いてあったので、どのように表現されるのか楽しみです。

木村:そうなんです。実は非常に重い物語になってまして、元々は共存していたヴァンパイアと人間が、ある事件をきっかけに別々の道を歩むことになるんですよね。そして血肉の争いを繰り広げるという…。

赤間:うーん…そうなんだけど…(笑)。

木村:まあ、要するに、どコメディです!

赤間:そうなんです。キャッチコピーは「こいつら全員馬鹿ばっか」なくらい、非常にコミカルに描かれています。親子席もあるぐらい、ポップな作品なので安心してください。

木村:ローカロリーなビーガン公演です!

赤間:一方で役者陣は舞台を右から左へ駆け巡り、アクションを繰り広げているので、ハイカロリーなんですけどね! 大人の一生懸命さを見て、元気になっていただけたらなと思います。

「忘れちゃったけど、面白い」くらいの気軽さで

−−天才劇団バカバッカには「全ては笑っていただきたい一心」という信念があると聞いています。今回の作品を観る人に届けたいことはありますか?

木村:結成以来、取り扱ってきたテーマなんですけど、“差別”がない世界を表現してきました。うちの劇団でいうと僕も副座長(レノ聡)もハーフだったりして、無意識にずっと意識してきたものなので。今回は、そういう世界をヴァンパイアと人間で描いているので希望が持てる作品になるといいなと…。ただ、それはあくまでも僕らの中にある裏ミッションなので、観にくる方には、家に着く頃には「内容忘れちゃった」くらいのテンションでいてほしいです。

赤間:「あー楽しかった!」ってね。

木村:それで、いいんだよね。帰り道に友達と「なんだっけ、なんか面白いシーンあったね! 忘れちゃったけど!」みたいな舞台が理想なんですよ。見る方によって受け取り方が変わるような、めちゃくちゃくだらない話になっています。

−−「何か分からないけど、楽しかった」というテンションでいいと言われたら、気軽に楽しめる方も多そうですね。

木村:気軽にって言ってもらえるのがすごく嬉しいんですよね。僕の妹がブロードウェイで女優をやっているというのもあって、何度か行く機会があったのですが、演劇がすっごく気軽な存在なんですよね。「待ち合わせまでに時間があるから見ておくか」みたいな。ブロードウェイみたいになりたいわけではないですけど、あのくらいの気軽さって僕らの好みなんです。

赤間:理想は客席でポップコーンをぶちまけながら、見てほしいよね。

木村:そうそう! コロナ禍になる前からそれは言っているよね。いつか僕らの専用劇場を立てれたときには絶対そうしたいな。

赤間:ドリンクホルダー作ったりね!

コロナ禍で探ったポテンシャル

−−コロナ禍を通して演劇への思いが変化したり、新たに気づいたことはありましたか?

木村:変化はないのですが、公演をやれないもどかしさが募っていきました。会えない時間が2人をつくる…みたいな感じでしたね(笑)。それに僕ら、めちゃくちゃ仲良い…というか劇団員以外に友達がいないんです。直哉とは高校時代からの親友ですし。だから「詰んだな〜」って思いました。

赤間:うん。早くお芝居したいねって、ずっと話していたよね。

木村:あと、2020年に平井杏奈が劇団に入ってくれたんですけど、加入の1カ月後にコロナ禍になってしまって、何もできずにいたんです。それがかわいそうだなというのもあって「もう必要とされなくてもいいし、誰も見なくてもいいから稽古しよう!」ってなりました。

赤間:そうそう。それで1カ月、まるっと稽古場を借りて稽古したんです。

木村:収入にならない稽古に1カ月で100万以上かかっちゃいましたよ! ははは!

−−「誰にも見せなくていい」のテンションとは思えない費用ですね…

木村:でも、めちゃくちゃ楽しかったんです! 稽古をしたり、動画を撮ってみたり…

赤間:粘土でいろいろ作ってみたりね。

−−YouTubeでもいろいろ公開されていましたよね。

木村:演劇だけでなく、メンバーの意外な一面を探そうと思っていろいろやりましたね。

赤間:絵を描いたり、木のパズル作ったり、僕は羊毛フェルトをやったり…スキルアップというわけではないですけど、何かないかなって探してみてました。

木村:でも、直哉に関してはもともと先端恐怖症なのに羊毛フェルトに挑戦したから、針が原因でめっちゃトラウマになるっていうね。

赤間:そうそう。あれはしんどかったな〜。

木村:でも、YouTubeをやってみて思ったのは、僕らには向いてなかったですね。

−−なぜですか?

木村:撮影とか、編集する暇があったら「面白いことしようよ!」みたいなタイプなんですよね。実際、面白いことがあったのに誰もカメラ回してなくて、「まあ、めっちゃ笑ったからいいか!」みたいなことも多々ありました。最初は「YouTube劇団になろう」とか言って、始めた以上続けなきゃならないって使命感もあったんですけど、結局は舞台が余計恋しくなったんですよね。

−−YouTubeではドラマにも挑戦されていましたが、ドラマはいかがでしたか?

赤間:全10話を3日間で撮り切ったんですよね。自分たちが主人公になってドラマを撮るのはやったことがなかったので、すごくいい経験でした。例えば、舞台で振り向くときって首を思い切り動かすけど、映像ならちょっとでいいとか。

木村:舞台と同じような目線の泳がせ方をすると、わざとっぽくなっちゃうとかね。もう、全員が月9行けますよ(笑)。準備整ってますんで、ぜひ!

赤間:よろしくお願いします!

−−初の冠番組「バカラダファミリア! 木村昴と天才劇団のバカバッカ」(CS日テレ)の放送もありましたし、かなりいろんなことに挑戦されていたんですね。

木村:自分たちでは「やりたいことをやってみた」という感覚だったのですが、言われてみればいろんな角度から物事を考える時間にもなりましたね。

演出・赤間直哉による“NEOバカバッカ”

−−最後に改めて、今回の公演を楽しみにしている皆さんにメッセージをお願いします。

木村:今回プッシュしたいのは、劇団員の赤間直哉がバカバッカで初演出をすること。僕が総合演出としてトータルを見つつ、具体的なメインの演出は赤間が立つんです。ただ、これがポンコツでして…。

赤間:(笑)。

木村:でも、それでいいんですよね。要は今後、赤間にバカバッカの演出を練ってほしいという目標もあったりするし、すごくよく頑張っているので、今までのバカバッカに直哉の頭の中にあるスピリッツが入った、バカバッカNEO? NEOバカバッカ? としての片鱗を感じつつ、楽しんでもらえたらいいなって。ちょっと、赤間先生、一言お願いします!

赤間:はい! 僕自身、プレイヤーとしてお芝居をすることが大好きで、誇りを持ってやっているんですけど、自分の頭の中を人に伝えて、役者さんたちが具現化してくれるのってすごく楽しいことだなと思っていたので、演出を務めることにしました。

自分としては「こうやっていった方がいいんじゃないか」みたいなところを、役者さんによって解釈を変えて、それによる広がりがあることを、いろいろと試せるのって素敵だなって。ただ、お金を頂いて作品にする以上、責任が伴うことも事実です。重荷を背負いながら、僕がバカバッカで表現したい「笑顔になってほしい」ということと、「バカバッカってすごい」ということを全力で表現しながら、隣にいるめちゃくちゃ面白いやつ(木村)のことを、さらに面白くできたらいいなと思います!

木村:あとは、僕らがずっと前から出ていただきたいと思っていた綾瀬はるかさん、沢口靖子さん…とにかく豪華な人たち…のモノマネ芸人さんが出てくださるので、ぜひ楽しみにしててください!

取材・文:於ありさ/撮影:友野雄

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公演情報

タイトル

天才劇団バカバッカ vol.22「ヴァンダフルワールド」

日程・会場

2021年10月28日(木)〜11月3日(水・祝)
東京・こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ

チケット情報

https://www.cnplayguide.com/bb/

出演者

木村昴
赤間直哉
レノ聡
野村龍一
津賀保乃
うみぐちうみ
平井杏奈
(以上、天才劇団バカバッカ)

結那
米本学仁
石井美絵子
ひるちゃん(インポッシブル)
えいじ(インポッシブル)
白倉裕二
森谷勇太
武井雷俊
櫻井佑樹

沙羅(ダブルキャスト)
メルヘン須長(ダブルキャスト)
河口こうへい

境秀人
大城将太
堀内寛嗣

ホリ(映像出演)

天才劇団バカバッカ公式サイト

http://bakabakka.jp/bb/

天才劇団バカバッカ公式Twitter

@t_bakabakka

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