2020年10月からYouTube公式チャンネルで配信中のWebアニメ「おねがいっパトロンさま!」。支援するもの『パトロン』、支援されるもの『シュガー』。2人で一つの“パトレイサー”が、人々の止まってしまったココロを再び震わせるために奮闘する。YouTube上ではメインストーリーに加え、ゲーム実況やサイドストーリーなど幅広い動画が公開されている。
本プロジェクトがキムラ真の演出・脚本で「おねがいっパトロンさま!The Stage」として9月15日より東京・草月ホールで舞台化が決定。パトロン・猫屋敷良夜役の山田ジェームス武とシュガー・由賀旭役の杉江大志がダブル主演を務める。過去に何度も共演経験があり、プライベートでも仲が良いこの2人。 “パトレイサー”というバディ関係をどのように演じるのか期待値が高まっている。
2.5ジゲン!!ではパトレイサー2組の対談が実現。本記事では杉江と山田を、続く記事では宮崎湧(シュガー・日球磨塔斗役)と前川優希(パトロン・胡桃峯役)の対談をお届けする予定だ。
僕らなら舞台上で“リアルに生きていける”
――お2人の共演はいつぶりですか?
山田ジェームス武(以下、山田):2019年の舞台以来かな?
杉江大志(以下、杉江):あ、もうそんな経ってる?
山田:うん。でもあの舞台ではそこまで絡みのある役じゃなかったよね。共演の期間が空いていたとしても、過去に「メサイア」シリーズでガッツリ共演した時の信頼関係があるから安心よな。
杉江:そうね。あのシリーズの映画の撮影でも思ったけど、多分僕らの相性がめちゃくちゃ良いんですよね。お互いにやりやすいのが、お互いに伝わってくるんです。楽ですね。
山田:得意とする役の系統は(互いに)違うんだけど、お芝居を見たり演じたりする時に「好きだ」と感じる部分が似てるんですよね。あと得意な役が一緒だと配役がカブっちゃうから、そもそも共演する機会がなくなっちゃいますよね。
――演技中、相手が「次はこういうふうに返してくるだろうな」っていうのが分かったりするのでしょうか。
山田:逆に僕は分からないかも。さっき言ったように得意な役が違うから、「こう来るだろうな」と僕が考えたことと近いようで違うものを大志は出してくるんです。だからこそ面白い。
突拍子がなさすぎることもないし、「やりすぎだろ」ということもなく、延長した先の演技をぶつけてくるから「おお、そう来たか、じゃあ俺はどうしようかな」と楽しめるんですよね。稽古が進んでいく中で、自由な角度で各シーンに挑戦しながら、どんどん固めていこうとしている最中です。
杉江:本番に入っても自由なところはこのままだよね、きっと。この自由な感じってある意味諸刃だから、信頼できる相手とでないと成立しないんですよね。
あるんですよ、「この人とだったら自由じゃなくて固い動きのほうが良いかもな」とか「毎公演違う動きをしないほうが良いよな」ってことがたまに。この2人だとそういうのが全くないなぁって改めて実感しています。
山田:セリフの語尾が変わったとしても動じないし、舞台上で“リアルに生きていける”。極論ですけど、もしアドリブで本番中にストーリーが脱線したとしても、この2人なら話の筋に自然に戻って来ることができると思うんです。
杉江:そうね。お芝居ってする人によってタイプが違う…ってこれ、芝居がどうのって話し出すと鼻についちゃうんだよね…(笑)。
山田:(笑)。
杉江:要はセリフも会話なので、普段から「この人と話しやすいな、話のリズムが合うな」っていう相性がお芝居にも反映されるから、彼とは本当にやりやすいなぁって。
正反対なんだけど、似てる
――演出・脚本のキムラさんとは稽古中にどのようなコミュニケーションを取られていますか?
杉江:稽古の中に、この方向に行きたいなと思うことがあった時、キムラさんに提案したら必ず「やってみよう」と言ってくださるんです。「気持ちを大事にして、舞台上で言葉を交わしてくれたらそれで良いから」という方針の基に演出をしてくださる方なので。
僕たち2人だけじゃなくってカンパニーみんなが「その方向に向かって行こう」っていう強い意思のある現場ですね。理想を言えば、ある程度決めるところは決めるし整理はするんだけども、ほぼ全てのシーンの動きを決めずに自由に自然に行ければいいなって。
山田:作品を残すというより、その場に(登場人物たちが)生きていてほしいと感じる演出です。キムラさんは「この役はこういうふうにやって」って固まったものを残すのではなくて、旭として良夜として生きてその場で感じたものを出して、というのを好む方なんだろうなって思って。だからこそ僕はキムラさんがめちゃくちゃ大好きです。
人によっては「決まったものを演じるのが舞台でしょ?」とか色々な意見を持ってらっしゃる方もいると思います。でも僕は“その場で生きる”という考え方が大好きで。
――話が少し逸れてしまうのですが、リアルに生きるとなると、本舞台ではエチュード的なシーンが多くなってくるのでしょうか。
杉江:台本のあるエチュード、かな?
山田:台本にある筋書きでやってはいるんですけど、セリフがめちゃめちゃ脱線するってことはない。キャラクターたちが本当に楽しく生きてるんですよね。
旭を見ててめっちゃ思うんですけど、ただ元気な子を演じるんじゃなくて、“大志+旭÷2”のところでいてくれるから、だから感じ取りやすいし想いを飛ばしやすいし、(良夜としても)演じやすいんです。
――ご自身が演じる役についての印象をお聞かせください。
杉江:旭は「強い子だな」って。よくいる“真ん中にいる主人公”って感じのひたむきな元気さを持ってはいるんですけど、自分も弱さを抱えているっていうのに人のために自然と無理ができる。全部人のためだし、頑張れちゃうし、それが苦じゃないよっていうベースを持っている人。人間としてすごく強いんだなと感じました。
でもその半面に自分のことは放って置いちゃうし無理しすぎるところもあるんですけども。いつも旭は“人のために何かするのが当たり前”というのが先にくる。
山田:多分リスクは考えていないよね…「これをやった事で自分にどんなリスクが生まれるのか」というのは視野にない。
杉江:「お腹へったからご飯食べるでしょ」と「困ってる人が目の前にいるから助けるでしょ」がおんなじなんですよね、旭の中では。
山田:ホント、後から気付くタイプよな。例えば、ご飯を他人に優先して配ってたらいつの間にか自分の分も配っちゃっていて「あれ? 俺の分は?」って(笑)。
杉江:ああ、そうね(笑)。まさにそういうタイプだよね。生きづらいですよね。良夜の印象は?
山田:家族がすごく大切な人なんだと思う。だから僕、似てると言えば似てるんですよね。僕も家族が大好きだけど、歩み寄りきれない部分が存在します。良夜も誰かに認められたいとか、他人にどうこう思われるよりも以前に、家族のことをとにかく真っ先に想っているんですよ。その中に複雑さも抱えながら。すごく優しい人だと思います。そのせいで真っ直ぐになりすぎるし、周りが見えなくなってしまう。
旭は全方面に目も耳も傾けるができるけど、良夜は「大事な人を守らないと、救わないと」ってどんどん視野が狭くなって自分でもどんどん分かんなくなって、人を傷つけていってしまうんです。
でも決して自分勝手ではなくて。「人を傷つけてしまっていたんだ」という事実を知ると、「俺はダメだったんだな」って反省しながら前に進める人だから、すごく人間味のあるキャラクターですよね。
杉江:旭とは本当に正反対だよね。
山田:そうだね。
――そんな正反対の2人がなぜパトレイサーとして繋がったのでしょうか。
杉江&山田:正反対なんだけど、似てるんですよ!
一同:(笑)。
山田:今言ったように、周り全部が見通せているけど自分が見えていなくて知らないうちに自分を傷つけてしまっている旭と、近しい人を大切にしているけど周りが見えていないせいで他人を傷つけてしまう良夜。この組み合わせが、正反対なんだけど行き着く先は一緒なんです。
杉江:ベースが一緒で、タイプが違う。良夜は人間性でいうと利己的なタイプで、自分のために周りを使うというのを普通にやる。ここだけ切り取ると悪いように聞こえるかも知れないけれど、そもそも自分ではない“助けたい人”というのが前提にいて、だから周りの人を使うんです。その“周りの人”の中にはもちろん自分も含まれています。結局は良夜もまた人のために何かできる人。そういった根本的なベースは旭と変わらないんです。
山田:めっちゃくちゃ深くて面白そうでしょ?この2人関係性って。
意気込みとファンへのメッセージ
――改めてファンの皆さんへメッセージをお願いします。
山田:これまでストレート舞台や2.5次元作品と、色々と携わらせていただきました。今回はバーチャールキャラクターという、YouTubeのアニメを舞台化するという新たな取り組みに参加させていただきます。原作アニメや台本を見たらとても素敵な作品で、正直びっくりしました。今すごく楽しみながら稽古をしています。
多分、本舞台を1回目見るのと、2回目見るのとでは感じ方が変わってくる作品だと思います。2.5次元作品ではあるのですが、こういう構成はめずらしくて、ほとんどのお客さまが初めての感覚に浸れるのではないのでしょうか。ぜひ楽しみに見に来ていただけたらと思います。
最後まで責任を持って頑張るのでどうぞよろしくお願いいたします。
杉江:すごく、すごくパワフルな作品に仕上がりつつあります。原作アニメを見てくださった方が想像しているものとは全く違ったかたちになっていると思うし、全く違った見え方をしていると思います。だからこそ、アニメと舞台の両方を見て楽しんでほしいです。そして両方を見る事によって新たに感じ取るものが必ずあるはずです。
例えば、アニメでは良夜に感情移入して見ていた人が、舞台では違うキャラに共感したりだとか。両方から見ることによって色々なものを受け取って帰る事ができるのではと考えます。
あとは何より、自由に作っているので、同じ公演はまずないです。おそらく見ていただく皆さんのココロが震えるシーンは、その日の公演によって違ってくるのではないでしょうか。まずはぜひ一度、劇場に足を運んでほしいなと思いますし、できることならば「おねがいっパトロンさま!」というコンテンツをさらに多くの方に知っていただくきっかけになってくれればなと思います。どうぞよろしくお願いいたします!
* * *
久々の共演を通して、新たな発見や絆を実感できたという杉江と山田。無理に言葉をかわさずともお互いのことが分かるこの2人だからこそ、最高の愛の物語を届けてくれるはずだ。
続く宮崎湧と前川優希のインタビュー記事もぜひ目を通してみてほしい。
撮影・取材・文/ナスエリカ
「おねがいっパトロンさま!」とは?
Webアニメ(メインストーリー)と配信動画(サイドストーリー)2種類の動画がほぼ毎週更新中。メインストーリーでは「旭」と「良夜」2人を中心とした物語が、サイドストーリーではその他のメンバーも登場して、彼らの日常が描かれる。ストーリー
支援する者パトロン
それは「才能を繋ぐ者」支援される者シュガー
それは「才能を持つ者」「パトロン」と「シュガー」
2人で1つのヒーロー“パトレイサー”人々の止まったココロを再び震わすため
“パトレイサー”たちの活躍が始まる!パトロン関係
それは歴史の中確かに存在した美しき愛の形
これはパトレイサーとあなたの愛の物語である!
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