2021年8月に大阪・東京・神奈川の3都市で舞台「東京リベンジャーズ」が上演される。
和久井健による原作漫画『東京卍リベンジャーズ』は2021年4月よりアニメが放送されており、同年7月9日には実写映画公開が予定されている、今、最も注目を集める作品の一つ。今回の舞台化も大きな話題になった。
2.5ジゲン!!では、主人公の花垣武道(演:木津づばさ)が出会う“東京卍會”の総長・佐野万次郎役の松田凌と副総長・龍宮寺堅役の陳内将に対談取材を実施。お互いの印象や原作の魅力について語った様子をお届けする。
――まず、ご出演が決まった際の心境をお聞かせください。
松田:『東京卍リベンジャーズ』が舞台化するという話は聞いていたのですが、佐野万次郎を誰が演じるかまだ決まっていないとお聞きしたんです。マネージャーさんに「どうにか面接を受けられませんか」とお話をして、いろいろなご縁があって制作の方とお会いする機会を頂きました。
そこで「マイキー(佐野万次郎)を他の人に演じられたくないです。舞台にマイキーを出すことが決まっているのであれば、自分が一番責任をもって演じます!」ということをお伝えしました。そういうご縁で役を頂けたんですけど、願っているものを掴み取って、率直に“嬉しい”“光栄だ”という気持ちがありますね。
陳内:もともと原作が好きで、マネージャーに「舞台化するなら教えてください!」ってずっと言っていたんです。どの役を演じたいとかではなくて、まずこの作品に関わりたいと思っていたんですけど、舞台化するにあたって、ドラケン(龍宮寺堅)候補として会いに行くことになったので驚きましたね。
違う現場でも「東リベ」が流行っているんですけど、「陳さん、稀咲鉄太とかいいかも。ずるい芝居がうまそう」って言われていたんですよね。自分でもなるほど、俺の得意分野だな! と思っていたんですけど(笑)、今回は真っ直ぐで硬派なドラケンという新境地の役になりました。責任を持って頑張りたいという気持ちももちろんありますが、それ以上に楽しみで武者震いしていますね。嬉しかったです。
――お互いの第一印象を教えてください。
松田:実は、しっかりとした共演っていうのは今回初めてなんですよ。僕はもともと将さんが所属されている事務所の養成所に通っていたんです。その当時からもちろん将さんのことは知っていました。
在学中に出た舞台のオーディションがあったんですけど、そのオーディションのお手本を将さんと山田裕貴さんがされていたんですよ。将さんは僕たちの一期上で、学校の憧れの先輩みたいな存在でした。とても素敵なお兄さん、という感じでしたよ。
陳内:僕は、在学中にD-BOYS STAGE vol.2「ラストゲーム〜最後の早慶戦〜」っていう舞台に出演したんです。その後、再演に学生の時の凌が出ていたんですよね。でも実は、当時はまだあまり関わりがなくて…。
養成所には卒業生のポスターがたくさん貼ってあるんですよね。その中に舞台『Messiah メサイア』のポスターもあったんですけど、それを見て「こんなにイケメンな後輩がいるんだ」と凌のことを意識していました。僕も映画版「メサイア」に出演したので、共演はなかったですけど、共通点は多くて親近感を抱いていましたね。
あと、うちの事務所の宮崎秋人とすごく仲がいいっていうのも知っていたので、ずっと他人じゃない感じはしていました。
――出会いから数年経て今回の共演に至りますが、今作で楽しみなことはありますか?
松田:お芝居です! 将さんは芝居の人っていうイメージが強いんです。(陳内が所属する俳優集団の)D-BOYSの方と共演させていただく機会がすごく多かったんですけど、皆さん芝居に貪欲で熱いんですよね。そういうところが大好きです。将さんももちろん熱い方ですし、他とはまた違ったお芝居の色を感じていました。今回ご一緒させていただけることが改めて楽しみですね。
陳内:やっとがっつり共演できるので、落ち着いた頃にゆっくり飲みに行けるような仲になれるといいなと思っています。これから凌もずっと役者をやっていく人だと思っているので、これを機にもっと仲良くなりたいですね。
――お二人は原作をご覧になっているとのことですが、『東京卍リベンジャーズ』の魅力はどこでしょうか?
松田:これ、一言では語りきれないですね。
陳内:語り切れないですね(笑)。でも、そうですね。“真っ直ぐさ”かな。どの時代でも、真っ直ぐさって本当に必要なものだと思っています。
養成所にいた時に、こういう役者になりたいっていうのを担当の先生に文字や言葉で伝えていたんですけど、実は自分の中で、その像は漠然としていて、うやむやなところがありました。今はそれがどんどん形になってきている段階です。
でも登場人物の彼らは確固たる意志を持っているので、年下だけどすごく憧れますね。僕もこういう学生生活を送りたかったな。
松田:時代に選ばれた作品だと思っています。でも、時代に選ばれているようで時代を作ろうとしているというか…。実は、今の世の中に合っていないような登場人物も多く出ているんですよね。マイキーもそうです。彼は時代を作ろうとしている。そんなかっこいい姿に憧れます。
そういうものを見て僕も育ってきたし、「東リベ」はこれから新しいバイブルになると思います。この漫画を読んで、男の子たちは男の在り方を学べるし、女の子たちは自分たちが知らなかった世界の魅力を知れるだろうし、すごく稀な作品だと思います。
――ちなみに、お二人が学生時代にバイブルにしていた漫画はありますか?
陳内:「湘南純愛組!」とかですかね。
松田:うわっ、バリバリじゃないですか(笑)。僕は「ドラゴンボール」かな。あとは「今日から俺は!!」とか「GTO」とか、不良系漫画が好きですね。和久井先生の「新宿スワン」ももちろん面白かったです。
――ドラケンとマイキー、それぞれのキャラクターの印象は? 演じるにあたって役作りのポイントなども教えてください。
陳内:今回、改めて原作を読み直しているんですけど、ドラケンのイメージは最初から結構変わりましたね。
タケミチ(花垣武道)のクラスに行った時にぶちのめした上級生をマイキーと一緒に踏んで歩くシーンがあるんですけど、ドラケンこんなことしてたっけ!? っていう驚きがありました(笑)。物語が進むにつれてドラケンの人となりに惚れていったので、こんな一面もあったな、と思い出しています。
第一印象は「怖いな」っていうところもありましたけど、そこもフォローしたくなるような人間味が彼にはありますね。ドラケンは“ザ・漢”っていう感じですし、マイキーのお父さんなのかお母さんなのか分からないような役目も果たしているし(笑)。実質、東京卍會をカリスマ的にまとめているのはマイキーですけど、ドラケンが軸になっているところも感じますし、不器用だけど真っ直ぐな男の生き様が大好きですね。
松田:あえて言います。原作を見てください! 原作やアニメ、映画を見て皆さんが受け取ったそのままの印象がマイキーだと思います。
原作ありきの作品に関わる時は、原作に失礼がないようにするのが大前提ですし、どういう演出がオーダーされるのかはまだ分からないんですけど、今回はチャレンジとして、僕の思うままに演じられたらと思っています。
映画とアニメと舞台がほぼ同時期にありますが、(映画版のマイキー役の)吉沢亮さんは吉沢亮さんの、アニメはアニメの、舞台は舞台のマイキーを見せたいですね。それが立ち姿かまとう空気か、ケンチン(龍宮寺堅)と一緒にいる時か、総長として立つ時に出るのかは分からないですが……突き抜けたものを出したいです。演者としても、天上天下唯我独尊でいきたいと思います! 細かい役作りは、将さんに甘えながら頑張りたいですね。
――アニメ化、実写映画化に続く舞台化となりますが、舞台だからこその見どころは何でしょうか?
陳内:「東リベ」に限らず、舞台は生きている瞬間をお客さんと共有できるところが素敵だと思っています。舞台は平面・紙面で観るものではありません。生きた姿をダイレクトに届けられるのが魅力だと思っていますので、登場人物が本気で生きる姿を見せられることが楽しみですね。
松田:生々しさです。目の前に世界が広がるっていうのは舞台しかありません。
原作のマイキーたちは中学生じゃないですか。自分たちが中学生を演じることに対して、疑問を抱く方がいても当然だと思います。100人いれば100人の感じ方があると思いますが、そういった違和感をいかに本物にできるかが楽しみです。
――主人公・花垣武道を演じる木津つばささんの印象をお聞かせください。
松田:実は僕、初めましてなんですよ。でも、ビジュアルそのまんまじゃないですか!
今作で一番期待を寄せています。やっぱり、「東リベ」はタケミチありきじゃないですか。みんなの代弁もしなきゃいけない、物語を一番動かさなきゃいけないという立場はすごく大変だと思うんですけど、少しお話しただけでも彼の気概を感じますし、木津さんはタケミチそのまんまだなって思っています。
陳内:彼が二十歳になりたての頃くらいに出会ったんですけど、器用で頭がいい子なんだなという印象を抱きました。年は離れているけど、同じベクトルで話ができたんです。芝居に対する嗅覚がすごいなとも思いました。
そこからまた1年半くらい経て共演したんですけど、その時も変わらず「賢くてセンスがある子だな~!」って思いました。今回も大いに期待していますし、たくさん頼ろうと思っています!
――タケミチは恋人や仲間を救うためにタイムリープを繰り返します。お二人は、過去に戻ってやり直したいことはありますか?
松田:そんな過去しかないですよ(笑)。
陳内:そうね、本当言うとね(笑)。
――もし実際にできるとしたら、タイムリープはしてみたいですか?
松田:したいかどうかと聞かれたら、したくはないですね。
陳内:面倒くさいからでしょ(笑)。
松田:いやいや(笑)。本当に変えたい過去しかないですけど、毎日選択をしっかりして、これが僕の人生として生きているので戻りたいとは思わないですね。
陳内:僕はそうだな……。もし戻れるとしたら、中学卒業のタイミングで上京してお芝居を始めたかったな。10代の時に10代の役ができなかったのが、少しだけ心残りなんです。今も30歳過ぎて10代の役をしていますけど、もしあの時に役者を始めていたらどうなっていたのかな? 学園ドラマなんかにも出ていたのかな? って考える時はありますね。
――最後に、意気込みとファンへのメッセージをお願いします。
陳内:ビジュアル撮影の時から、凌と「この作品に賭けましょう!」と話していました。意気込みはばっちりですし、共演者はみんないい奴らですし、最高の舞台を作るということをお約束した上で、この夏にお客さまがタイムリープしたくなるような作品にしたいと思います。楽しみにしていてください!
松田:不良の世界を舞台化することについて、男としては色々と思うわけですよ。正直、エンターテインメント100%ではいきたくないです。『東京卍リベンジャーズ』には言葉では説明できない思いや絆があって、それを僕たちは舞台上で表現したいと思っています。原作を知らない方は読んでほしいですし、知らない方も必ず胸が熱くなるような作品にします。1作で終わるか分からないこの舞台の始まりを見逃してほしくないと思います。“ぜひ来てください”じゃありません。必ず来てください。お待ちしています!
取材・文:水川ひかる/撮影:友野雄
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