ミュージカル『刀剣乱舞』(岩融 役)や映画『女の機嫌の直し方』など幅広い分野で活躍中の俳優・佐伯大地。
3月12日より開幕の舞台「改竄・熱海殺人事件」について意気込みや稽古場での様子を聞いた。男らしさと爽やかさが共存する彼の魅力を最大限にお届けしたい。
――舞台に立たれるのが久しぶりだったとのことですが、現場に帰ってきたことで心境に変化はありましたか?
最近はありがたいことに映像のお仕事が多かったので、舞台に立つことに正直「大丈夫かな?」と思っていました。
でもいざ実際に稽古を始めると、これまでの経験を経て、知らない間に度胸がついていたんだなと感じました。“ひょうひょう”とできるようになったというか。「稽古場なんて失敗して当たり前だし、本番までに学んで作り上げていけばいいんじゃないか」って。
――つかこうへい氏の名作「熱海殺人事件」。舞台・原作のファンも多く、これまで様々な人によって展開され、現在では「戯曲」となっています。本作の率直な感想は?
周りの俳優仲間たちの間でも、この作品とつかこうへいさんのファンは多いですね。僕も過去に舞台を観たことがありましたし、「この仕事をしていればいつかは携わるのかも」と考えていた部分もあります。
たくさんの俳優さんや演出家さん、脚本家さんが「やりたい」と思う作品に自分が出演できるのはすごく光栄です。
とはいえ、やはり名作は難しい。
この作品の初回公演が1973年ということもあって、当時の言い回しが残っていたりしましたしね。僕はその当時はまだ生まれていないから、想像するほかなかったんです。
――作名に“改竄(かいざん)”とありますが、そういった当時の言い回しなどには変更が加えられていないのでしょうか。
現代の人向けにわかりやすく改変が加えられていたりしますが、作中に出てくる固有名詞などはそのままだったりします。
つかさんの作品の特徴として、その時流行っているものを積極的に作中に取り込むことがあるのですが、今回はあえてそうしなかったようなんです。
例えば“カフェバー”って単語が出てくるんですよ。なんとなく当時を彷彿とさせませんか?
演出の中屋敷法仁さんはこういった単語は残しているんです。
“カフェバー”って当時、カップルに人気があった飲食店のことらしくて、それがすごく新鮮でしたね。
「今でいうところの、“夜景の綺麗なレストラン”みたいな感じですかね?」って中屋敷さんに聞いたら「そう。自分の好きな人を連れて行きたい場所のこと。だからそのニュアンスを含ませて観客が分かるように伝えて」って返ってきたんです。
あえて当時の世界観を残した単語は使うけど、観客には意味が伝わるようにしないといけない。これって相当なテクニックが必要だなと感じました。
――本舞台はセリフが独特だったり、長文だったりしますが、テクニックを磨く上で意識されたことは?
長いセリフもそうですし、三段階で責め立てるセリフも登場しますね。
中屋敷さんは“論調が大事”だとおっしゃっていました。
例え長いセリフでも、論じている人のテンションや話の方向性を全部掴んでいる人間が言うなら内容が頭に入ってくると思うんです。
その論調の操作が下手だと、途端にただの長ったらしい呪文になってしまって、観ている人の頭に入っていかない。セリフの難しいところは、単に自分の感情を表現すればいいって訳じゃなくて、その時の論調こそが鍵となるんです。
そのためにはただ台本を読むだけじゃなくて、研究をして、過去の同じ役だった方のセリフを観て、作品と役をしっかりと理解することがすごく大事だと感じました。
作中では「コーヒーはドロドロだし、音楽ガチャガチャうるさいし、ねーちゃんケバいのばっかだし!」といった三段階で落としにかかるセリフも登場します。
それがなぜ三段なのかっていうのもやっぱり論調のリズムが関係してくると思うんです。聞いていて心地がよくって、テンポがあるから頭に残る。
その心地よさがないと、多分、僕の演技を繰り返し観たいと思ってくれる人は減っていくと思うんです。なぜなら、この舞台はそれだけたくさん喋るシーンが多いから。
だからこそ本舞台で新たに僕自身が切り開かれた感じがして、セリフを読んでいて稽古をしていてすごく楽しいんです。緊張もありますが(笑)。
――熊田留吉刑事という役について感じたことは?
僕が演じる熊田留吉刑事は「男ってこうだろ!」って言うのを詰め込んだ人間なんです。義理人情を大事にして、自分の意見を曲げてでも同調することはない。
現代からすると少し古くさい印象を与えるかもしれません。上司の伝兵衛からは「カッコつけんな!」って言われちゃいますけど(笑)。
――共演者の皆さんについてお聞かせください。
今回の舞台は二作同時上演で、僕たちが出演する「ザ・ロンゲストスプリング」ともう一つ「モンテカルロ・イリュージョン」があります。全員ではないですが、同じ役を違う役者が演じています。
二作ともに2.5次元舞台で活躍する若手俳優が多い現場ですね。
「モンテカルロ・イリュージョン」にはミュージカル『刀剣乱舞』で共演したことのある鳥越裕貴くんがいたりだとか。
「ザ・ロンゲストスプリング」の木村伝兵衛役・荒井敦史くんは、つかさんの舞台の前知識がすごくたくさんあって、作品をしっかりと把握しているし、中屋敷さんの演出の意図も理解していてすごいなと感じます。
荒井くんの演技を観させてもらいながら学ばせてもらう部分が多かったです。
僕たちのチームの舞台構成がシリアスな分、1つ1つのセリフの言い回しさえも試されるんです。失敗がきかないドキドキ感とずっと隣り合わせで。
衣裳付き通し稽古の後に、共演者みんながやっと「これなら行けそう」と実感できたので、結束力がさらに深まりました。
――それでは最後に見どころ&観客の皆さんへ一言をお願いします。
作品の元となる部分は同じなのに演出方法や演じ手が違うと、「ザ・ロンゲストスプリング」と「モンテカルロ・イリュージョン」で全く別の舞台になっていると思います。
僕たちのチームは、人間のドロドロした部分や男と女の情けないところも隠さず表現しています。一方のチームは照明の演出が華やかで、ダンスや衣裳替えや歌が多かったりするんです。
モノクロとカラフル、表現方法が全く違う中でそれぞれの面白さがあるので、ぜひ両方とも観比べてみていただきたいです。どうぞよろしくお願いします。
撮影・取材・文/ナスエリカ
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【応募期間】
2020年3月17日(火)〜2020年3月31日(火)正午
※必ずTwitterキャンペーン応募規約をよくお読みいただき、同意のうえご応募ください。
【応募方法】
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— 2.5ジゲン!! (@25jigen_news) March 17, 2020
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