コラム

銀河劇場、京都劇場、TDCホール…2.5次元舞台・ミュージカル作品とベストマッチしていた「最高の劇場」

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2.5次元舞台を見る時にどれくらい劇場を気にするだろうか。劇場までのアクセス? それとも座席数や座席位置?

舞台と劇場は切っても切れない関係にある。よく舞台を見にいくようになるとお気に入りの劇場があるという人も少なくないだろう。

もちろんお気に入りの劇場で見るのも楽しいが、筆者には「この劇場でこの作品を見ることができてよかった!」という経験が何度かある。

今回はこれまで観劇した中で感じた2.5次元舞台と作品のベストマッチについて紹介する。あなたにとってのベストマッチを思い出しながら読んでいただければ幸いだ。

銀河劇場×MANKAI STAGE『A3!』

まず紹介したいのが東京天王洲にある銀河劇場とMANKAI STAGE『A3!』(エーステ)だ。

MANKAIカンパニーという劇団に所属する劇団員たちを描いたエーステでは登場人物たちの日常や稽古風景だけではなく、実際に劇中劇が演じられる。

この劇中劇が始まるシーンに銀河劇場で見る良さがある。銀河劇場の幕は真紅でカーテン型の中央開きだ。

劇中劇が始まる際にも、幕が中央から開く演出になっている。中央から舞台が眼前に広がる様子に、劇中劇が始まるワクワク感がより高まるのを感じた。

「幕が開く」ことが劇中でも意味を持つ作品だけに、この真紅の幕がある銀河劇場で見ることができてよかったと感じる一作である。

京都劇場×舞台『刀剣乱舞』 悲伝 結いの目の不如帰

劇中の舞台と同じ場所で作品を見て、観劇後に街を歩きながら余韻に浸るのも格別の体験だ。舞台『刀剣乱舞』(刀ステ)悲伝の舞台は1565年の京都二条御所。京都劇場からもほど近い場所にある。

劇中では二条御所に季節外れの桜が舞い散るシーンがある。刀剣男士という人ではないものが訪れ、本来の歴史の流れとは外れた幻のような場所を表しているように感じたシーンだ。

一方で、物語が終わって劇場を出ると何も特別なことはない6月の京都の街が広がっている。

まるで劇中で刀剣男士が正しい歴史を守り、平穏な本丸の日常に戻ってきたことに重なるようだった。

劇中の舞台と同じ場所で見ることで、観劇している私たちは劇場を出た後も、物語と地続きの世界を生きているように感じられる。そんな不思議な余韻を味わえるのが魅力的だ。

ミュージカル『テニスの王子様』×TDC(東京ドームシティ)ホール

私にとってTDCホールには「劇場らしくない」という印象がある(実際、TDCホールは演劇に限らない多目的ホールとして設計されている)。

舞台のサイド側に座席が多いことやメッシュが張られた座席のせいなのか、とにかく劇場というよりもスタジアムの観客席という印象があった。

だからこそ、ミュージカル『テニスの王子様』(テニミュ)で舞台上の芝を模した緑と白線を目にすると、自分がいる場所がテニスコートの周りにある観客席のように思う。

サイドシートに座れば向かいにも試合を見守る観客がいるように感じるし、アリーナ席に座ればそのままテニスコートに地続きで繋がっている。

2000人超を収容する大きなホールの中で、皆が一球一球の行方を見守る。その一体感やアンコールで客席中を走り回るキャストの姿に、たとえ3バル(第3バルコニー)がちょっと遠くても許してしまうのがTDCホールなのだ。

テニミュは全国各地で公演されており、東京では日本青年館ホールでの公演もある。しかし、TDCホールで見るテニミュはとりわけ『観戦』という言葉がぴったりだ。

品川プリンスホテルクラブeX×RICE on STAGE「ラブ米」

品川プリンスホテルクラブeXは円形ホールになっていて、円形であることを活かした演出をする舞台作品も多い。中央のステージを囲むように座席が配置されることが多く、ホール自体が小さいことも相まってステージとの距離が近いのが特徴である。

そんなクラブeXとベストマッチしていたのが、RICE on STAGE「ラブ米」(米ステ)だ。

米ステは、お米の擬人化キャラクターたちが活躍するアニメ原作の舞台である。お米の魅力を伝える「ハーベスター」を目指すキャラクターたちが繰り広げる物語は、笑いたっぷり歌やダンスたっぷりで思わず笑顔になってしまう。

米ステはアイドルものというジャンルにくくってもいい作品だろう。ただし、正統派というよりは一癖あるアイドルものだ。

かっこいい楽曲なのに、よくよく聞くと無理矢理お米を絡めた歌詞であったり突如始まる女装であったりとかなり個性的。

そんなマニアックな作品だからこそ、客席とステージの近いクラブEXはちょうどいい。すぐ近くの客席通路から送られるファンサにときめき、キャラクター同士のやりとりに笑う。こじんまりとした暖かい雰囲気がたまらない。

さらに『ラブ米』は物販でおにぎりを販売し、公演中にステージ客席一体となっておにぎりを食べるという訳のわからない企画があった。

おそらくクラブeXで飲食の許可が下りたために実現した企画なのだろう。これぞ劇場×作品のベストマッチだ。

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WRITER

ゆうり藍
 
								ゆうり藍
							

2.5次元舞台をはじめとしたサブカル系コラムライター。舞台遠征でも観光を忘れないくらい旅行も好き。観劇がもっと楽しくなる記事をお届けできればと思います。

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