コラム

頬を伝う汗にリアルな青春を味わう。スポーツもの2.5次元作品とその魅力

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観劇もスポーツ観戦も大好きな筆者にとって、スポーツを題材とした2.5次元作品は観劇&観戦を同時に味わえる特別な存在だ。

実際のスポーツ観戦と違って勝負の結末は、原作を読んで知っている。それでも「勝ってほしい!」「負けないで」と拳を握って応援してしまうのは、ステージ上で繰り広げられる競技が、決して“作り物”ではないからだ。

今回は、ぜひ一度は観てほしい体の芯から熱くなれるスポーツものの2.5次元作品を紹介しようと思う。

ハイパープロジェクション演劇 『ハイキュー!!』

「週刊少年ジャンプ」の大ヒット漫画を原作としたハイパープロジェクション演劇 『ハイキュー!!』、通称「ハイステ」。

“ハイパープロジェクション演劇”とあるように、着目すべきはその演出。

映像や、足元が回転する“八百屋”という舞台装置を駆使し、一瞬で過ぎてしまう空中戦を表現している。

また、音楽の使い方もかなり特徴的だ。

各高校のチームカラーを音楽になぞらえ、音と音とのぶつかり合いでチームの関係性を表現するシーンもある。

ハイステは2015年の初演以降、原作のストーリーをたどって新作公演が次々上演されている。

2018年冬上演のハイパープロジェクション演劇 『ハイキュー!!』”最強の場所(チーム)”公演にて、主役校の烏野キャストが卒業となった。

そして2019年秋には新生烏野を迎えての新作公演の上演が決定している。

演出は引き続きウォーリー木下が務めるので、ハイステらしさは受け継がれるだろう。

さらに、新生キャストを迎えてどんな化学反応が起こるのか。

これまでハイステに触れてこなかった人も、このタイミングでぜひハイステの世界に足を踏み入れてみてはどうだろうか。

『プリンス・オブ・ストライド THE LIVE STAGE』

パルクールという身体能力だけで障害物を超えていくスポーツと駅伝の要素をかけあわせた架空の競技・ストライド。

『プリンス・オブ・ストライド』は、そのストライドに青春を賭ける高校生たちの姿が描かれる作品である。

通称「プリステ」と呼ばれる舞台版は2016年から2018年にかけて全5作品が上演された。

見どころはなんといっても圧巻のストライドシーン。

出演キャストたちは芝居稽古の前から、パルクールの特訓を数ヶ月にわたり受けている。

この特訓期間中は、「全身が筋肉痛で悲鳴をあげている」といった発言をするキャストが多く、その過酷な訓練を物語っていた。

もともと芝居や歌、ダンスに殺陣などをこなすキャスト陣が、相当しんどい様子を見せていたこのパルクールの特訓。きっと素人には想像もつかないほどハードなものだったのだろう。

それらを経て、劇中で繰り広げられるストライドには胸が熱くなること間違いなし。

通路やステージ上のセットを使って競技が展開していくのだが、身体能力が頼りのこの競技を文字通り“自身の身体ひとつ”でこなしていく姿は、ただただ純粋に彼らの努力の結晶でしかない。

誤魔化しが利かない分、熱さがダイレクトに胸に届く作品である。

身体で勝負すること、それを極限まで突き詰めたような競技のストライド。そこにチーム戦という要素が加わるのである。

熱くないわけがない。

すでにシリーズは完結してしまっているが、気になった人はぜひDVDで熱いストライドを体感してみてほしい。

スポーツもの2.5次元作品を語る上で欠かすことができない2作品

最後にご紹介するのは、2.5次元作品に詳しくなくとも知っている人が多いであろう「テニミュ」と「ペダステ」である。

テニミュはミュージカル『テニスの王子様』、ペダステは舞台『弱虫ペダル』をそれぞれ指す。

テニミュは平成で一大ジャンルとして確立した2.5次元舞台の礎ともいえる作品で、スポーツ少年漫画を大胆な演出でミュージカル化した。

その演出というのが、テニスボールをピンスポットライトで表現し、ステージ上にはテニスボールが登場しないというものである。

テニミュに慣れてしまうととくにこの演出に違和感を感じなくなってしまうのだが、2.5次元作品に触れたことがない人に説明するとかなり驚かれる部分だ。

劇中では実際にボールを打たないキャスト陣だが、事前にテニス合宿を行ってテニスの基礎を学ぶのは有名な話である。

そこにあたかもボールがあるような演技をするために合宿を行い、厳しい特訓のなかでチームメイトとの絆も育んでいく。

その過程は、実際に大会を目指す部活動となんら変わらない。

ステージ以外のこの“リアルな青春臭さ”がにじみ出ることで、『テニスの王子様』を嗜む層はよりテニミュの虜になっていったのだろう。

そして2.5次元舞台のブームの追い風となった作品のひとつにペダステが挙げられる。

この作品では自転車の車体がエアーとなり、キャストはハンドルだけを手に見えないペダルを全速力で回すという演出が取り入れられた。

実験的ともいえるこの演出は、競技の過酷さと、それでも足を止めない選手たちの気迫をそのままステージ上に再現することに成功した。

テニミュについては初心者向けコラムもあわせて紹介するので、ぜひ読んでみてほしい。

【テニミュ入門編】1st ・2nd・ 3rd…進化していくテニミュの軌跡とシーズンごとの特徴について解説します

観戦のような観劇、もしくは観劇のようでいて観戦を味わえるスポーツものの作品を厳選して4作品ご紹介した。

猛烈に青春を浴びたい、そんな気分のときにはぜひ観てみてはどうだろうか。

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WRITER

双海 しお
 
								双海 しお
							

アイスと舞台とアニメが好きなライター。2.5次元はいいぞ!ミュージカルはいいぞ!舞台はいいぞ!若手俳優はいいぞ!を届けていきたいと思っています。役者や作品が表現した世界を、文字で伝えていきたいと試行錯誤の日々。

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