コラム

ROU、芝居と楽曲で舞台に吹き込む「心」【演出家・吉谷晃太朗 連載コラム】

連載コラム「吉谷晃太朗のマチソワタイム」vol.44

演出家・吉谷晃太朗さんが若手俳優をランダムに紹介していく連載コラム。第44弾はROUさんの魅力に迫ります。

ミュージカル「ヘタリア」シリーズなどに出演する他、舞台「RE:VOLVER」や舞台「文豪とアルケミスト」の主題歌を手掛けてきたROUさん。役者とアーティスト、どちらにおいても舞台作品に“心”を吹き込むと、吉谷さんは信頼を寄せます。

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ROUについて


前回の宮島優心くんに引き続き、このコラムで紹介させて頂くか迷った。何故ならこのコラムが「若手俳優」を紹介するコラムだからである。「歌い手」として活動する彼らを、俳優という区分に入れさせてもらっていいのかと。

でもワールドワイドに境界というものが取り払われていく時代にあって、ライブパフォーマンスも同じく、歌い手もダンサーも俳優もジャンルを超え、垣根なくパフォーマンスを行う時代だ。

大きな括りで信頼のおける次世代の表現者たちを紹介していきたいと思う。

ミュージカル「ヘタリア」(ヘタミュ)の現場では、「(久々の演劇で)台本の読み方、忘れちゃいました〜」と冗談で笑う彼ではあるけれども、昔から変わらず信頼のおける部分は、特に動きにおいて感情に反したことをしないことである。

ロボットのようにただただ演出家の指示通りに動くことは、俳優として「心」を失わせれば可能である。

しかしROUは、そういうことが一切ない。必ず自分の中の頭と心の理解を行う。

久しぶりの舞台だからということでも、そういう部分が失っていないのは、真摯に表現に向き合っている証拠なのだ。

ROUが心を大事にしていることは周りにも伝わり、身を引き締めようといい流れが出来る。

「ヘタミュ」初演では、彼の歌の上手さがキャストみんなの目標になっていて、彼がいてくれたことでミュージカルとしてクオリティを向上させることが出来たのだ。

また彼の人柄だろうか、現場でのちょっとしたミスがみんなを和ませてくれるし、朗らかで柔和な性格は、作品に温かみをもたらせてくれる。

彼自身も演劇に参加することで、本業の歌手活動にも何かヒントを得ている気がする。何より楽しそうだ。彼が演劇の世界にこうして戻ってきてくれることは座組としても誇りである。いつまでも彼にとっても良い影響を与えたいと思う。

ROUが私のいる演劇世界からいなくなるのは、食後の上質なデザートを失うのと同じことだ。フルコースの演劇表現をする際にはぜひ戻ってきてほしい。

また、彼が自ら作り歌う曲でいいなと思うのが、スタイリッシュな曲調の中に、ちゃんと心を吹き込むことである。表現者として、俳優活動を主戦場にしていた歴史も血肉となっているに違いない。

舞台「文豪とアルケミスト」(文劇)や私のオリジナル作品「RE:VOLVER」の主題歌の歌い手をROUに頼むのもその為だ。

かっこいい歌なら誰かは歌える。そこに芝居心を注入してくれるのがROUだ。そしてディレクションも含めて、彼にお任せしている。

彼が歌声として乗せるイメージの先に物語が浮かんでいるのだろう。だから、ラストバトルで主題歌を流した時の高揚感が作品のクライマックスとマッチする。主題歌を通して、彼に出演してもらっている思いだ。全く心強い仲間である。

私は彼が好きである。だから、彼の出演する番組はチェックするし、宣伝もする。(下記に↓)

私にとって彼はキャストでありスタッフであり、どこか別の世界の人だ。

そんなROUを私はいつまでも応援したい。


マチソワとは――昼公演という意味の「マチネ」と夜公演を意味する「ソワレ」を組み合わせた言葉。マチソワ間(かん)はマチネとソワレの間の休憩のこと。

▼ROU/1st ALBUM「VISUALIZE」

WRITER

吉谷 晃太朗
								吉谷 晃太朗
							

演出家・脚本家
大阪府出身。同志社大学文学部卒業。高校在学中より劇団ひまわり大阪俳優養成所に入所。その後大阪シナリオスクール、伊丹想流私塾を卒業し、男性演劇ユニット「Axle(アクサル)」に脚本家、演出家、俳優として参加。人気漫画の舞台化で人気を博す。ミュージカルやショー、アクション物、新喜劇など、幅広いジャンルで活動中。

Twitter:https://twitter.com/koutaroyositani

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