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輝馬、さらなる可能性を秘める全方位的ハイパフォーマー【演出家・吉谷晃太朗 連載コラム】

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連載コラム「吉谷晃太朗のマチソワタイム」vol.40

演出家・吉谷晃太朗さんが若手俳優をランダムに紹介していく連載コラム。第40弾は輝馬さんの魅力に迫ります。

超歌劇「幕末Rock」シリーズ、音楽劇「金色のコルダ Blue♪Sky Prelude of 至誠館」、舞台「カレイドスコープ」などに出演してきた輝馬さん。演技は正確、アクションやダンス、歌にしてもハイパフォーマンスで、その人柄は周囲を牽引できるような存在だと、吉谷さんは指摘します。

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輝馬について


スラッとしたスタイルと澄んだ空気の中にスカッと抜けるような声。役柄によってはそれは、光の中に立つシルエットが放つ、人々に希望を感じさせる声にも聞こえるし、闇に潜んで人々を絶望に突き落とすようなクールでドライな声にも聞こえる。

演技はこの上なく正確。そこに温かみも介在するのは彼の人柄が起因しているのであろう。輝馬のような俳優はいそうでいない。特別な唯一無二の個性である。

群衆に埋もれることなく目を引くし、輝馬がそこにいることで場も締まっているように感じる。

「カレイドスコープ」で久々にご一緒した時は、検事役として、その安定的な演技に役を安心して任せることが出来た。検事という象徴的な役をリアリティを持って演じてくれる。この物語も見方によっては正義にも見えるし悪にも見える、輝馬にとっては清々しい程ピッタリな役柄に思えた。

笑いをとるような物語でも役柄でもなかったが、一つの真実にしがみつく姿は悲哀にもとれ、根源的な人間の愚かしさを表現した笑える役柄とも言える。輝馬がその役を演じることで、そういう色合いに見えたのだと思う。

彼のスタイルは稽古場での佇まいにも反映される。

段取りにしても台詞にしてもこの上なく正確で、輝馬は周りの俳優の常に一歩先を牽引してくれているような頼るべき存在である。一見、生真面目すぎるのか?と思うところもクールさ故のとっつきにくさはなく、時折放つ笑顔のおかげで現場も和む。

無駄がないので稽古はスムーズに行き、シーン構築も快調に進む。輝馬の存在は演出側もとても助かるのである。先輩からも後輩からも慕われるのはそういったことが要因なのだろう。

最近若手キャストと共にしていることをよくお見かけするが、良い模範になっているに違いない。輝馬の発声の仕方や現場での佇まいをしていれば間違いない。

模範となるべき愛されキャラ、それが輝馬という俳優の度量。その魅力をどストレートに体現できるフィジカルと声を持つのが輝馬の圧倒的な強みなのだ。

そんな人格的にもパフォーマンス的にも素晴らしい彼のさらなる本質を見つけ出したいと思ったことがある。

「幕末Rock」では、そんな完全無欠なリーダー土方役の輝馬をイジりたくなり、イジられ系のネタのオンパレード。そのリアクションが実に痛快で、輝馬はきっと舞台上でイジればイジる程その面白さが爆発する。輝馬の面白さを是非もっとたくさんの人に知ってもらいたいと思う。

アクションにしてもダンスにしても歌にしても不得意なものがないハイパフォーマンス俳優の輝馬故に、そんな彼が困惑するようなコメディ舞台はきっと楽しいに違いない。

エンタメ系の作品、重厚な作品、コメディ作品とそのキャラクターを遺憾なく発揮した舞台に今後も立っていくだろうし、彼の新たなキャラクター性がどんどん開発されるような人と作品に出会っていってほしい。

演劇の世界で周りを牽引できるような存在。それが輝馬である。


マチソワとは――昼公演という意味の「マチネ」と夜公演を意味する「ソワレ」を組み合わせた言葉。マチソワ間(かん)はマチネとソワレの間の休憩のこと。

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WRITER

吉谷 晃太朗
								吉谷 晃太朗
							

演出家・脚本家
大阪府出身。同志社大学文学部卒業。高校在学中より劇団ひまわり大阪俳優養成所に入所。その後大阪シナリオスクール、伊丹想流私塾を卒業し、男性演劇ユニット「Axle(アクサル)」に脚本家、演出家、俳優として参加。人気漫画の舞台化で人気を博す。ミュージカルやショー、アクション物、新喜劇など、幅広いジャンルで活動中。

Twitter:https://twitter.com/koutaroyositani

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