連載コラム「吉谷晃太朗のマチソワタイム」vol.18
演出家・吉谷晃太朗さんが若手俳優をランダムに紹介していく連載コラム。第18弾は君沢ユウキさんの魅力に迫ります。
ミュージカル「Code:Realize ~創世の姫君~」、「王室教師ハイネ-THE MUSICAL-」、舞台「カレイドスコープ」などに出演してきた君沢さん。「愛」と「和」と「ポジティブ」の3つの要素を例に、演劇界に必要不可欠だと吉谷さんは信頼を寄せます。
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君沢ユウキについて
「この業界には絶対に君が必要だ」
心からそう思わせてくれる俳優、それが君沢ユウキだ。前に個人的にやっていた俳優紹介コラムでも1番最初に紹介させて頂いた。彼こそ、私の知る世界で最も象徴たる人物と思えたからだ。
こちらが魅力を引き出したり探り出すよりも前に、全面的に全開で魅力を見せつけてくれる。彼のことをコラムとして紹介するのに文字数が足りるのか心配になるくらい魅力が詰まっている。
さて、彼のパワーの根源は何か。今一度探ってみよう。
まず彼は心から演劇を愛していて、それに携わる全ての人を愛している。そのパワーはパフォーマンスにも当然現れていて、圧倒的パワフルな姿を舞台上で見せてくれる。見た目も実際も頼りになる男だ。
あのダビデ像を思わせる肉体は大きく強いパフォーマンスを披露する為の他、全力で愛を伝える為に鍛えた結果のように思える。地球のように大きな愛を抱くのには、それ相応の肉体が必要なのだ。
また彼は、チームの和をとても大切にする。勝敗ではなく全員で作り上げる演劇において、その心はとても重要だ。
一人一人の役割は限られている。個人だけでは何も出来ない。こういうものを見せたい、こういう世の中だからこういうものを伝えたいという気持ちをキャスト・スタッフ全員揃えてこそ、価値のあるものが出来上がる。
あのダビデ像を思わせる肉体は仲間を抱きしめたり、スクラムを組む為に鍛え上げた結果、出来上がったに違いない。
そして彼はどこまで行ってもポジティブだ。今、個人的にはちょっと今までと違った発想のクリエーションを行おうとしているのだが、そのイメージの中でよく君沢くんが出てくる。
超絶濃厚ポジティブ男がイメージの中で「これいけますよ! やりましょう!」と言ってくれて背中を押してくれるのだ。
逆に「いや、君沢くんもうちょっと細部を考えてから…」と二の足を踏む自分に対して、さらに背中を押し出してくる。イメージなのにもかかわらず、どえらく素晴らしいパワーだ。
あのダビデ像を思わせる肉体は、いつかポジティブ王になるためのものに違いない。もの作りにおいて、ポジティブ精神は必要不可欠なことは言うまでもないだろう。
つまり、「愛」「和」「ポジティブ」この三種の神器を持って彼は演劇界に必要不可欠な人間になっているのだ。
君沢ユウキはムードメーカーにもリーダーにも、仲間にパワーも注入するサポート役にもなってくれる。そして彼の経験から来るアドバイスは、特に若手に多大な影響を与えるし、結果的にいいものが出来上がる。
皆さんも彼のそういう感じはご存知だと思うが、皆さんが思っている以上に強い影響力を与えてくれるのだ。君沢ユウキがいる現場はエネルギーの持続力がある。周りに良い影響力を与える俳優として、僕の知る限りNo.1の男である。
もう一度言いたい。
「この業界には絶対に君が必要だ」
余談だが、僕の好きなディズニー映画「トイ・ストーリー」のキャラクターの中で実写イメージがあるとすれば、彼はウッディにも合うし、バズ・ライトイヤーにも合う。
そんな俳優を君沢くん以外、僕は知らない。
マチソワとは――昼公演という意味の「マチネ」と夜公演を意味する「ソワレ」を組み合わせた言葉。マチソワ間(かん)はマチネとソワレの間の休憩のこと。
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