コラム

円盤の特典ディスク・バクステ映像をとにかく観てほしい3つの理由

広告

広告

舞台の世界にはまるとじわじわと家に増えていくもののひとつに、公演DVD・Blu-ray、いわゆる円盤がある。

あれは本当に恐ろしいもので、ときに予約した記憶がないことがある。記憶はないのだが(正確にはなんらかの興奮で記憶が押しやられているのだが)、確実に円盤発売日に着払いの荷物が届くのだ。実に不思議である。

そうしてやってきた舞台の円盤。あなたはディスクの1枚目から観るか2枚目から観るか。どちら派だろうか。

今回は本編ディスクをすっ飛ばし特典ディスクから再生しがちな筆者が、特典ディスク、通称バクステの魅力を解説する。

最近舞台にはまった。円盤を買うかどうか迷っている。そんな読者に、バクステの魅力をお届けしよう。

1. 文字通りステージの裏側! 舞台袖や楽屋で繰り広げられる光景

略して「バクステ」と呼称されることが多いが、もとは「back stage」=ステージの裏側、という意味である。

映像として収録されていることが多いのが、公演前やマチソワ間での楽屋の様子。あとは公演中の舞台袖での、出番待ちのキャストたちの様子である。

カメラに向かって口パクで「このあと出番です〜、行ってきます〜」と袖からステージに出ていく姿なんかは、ほぼどの特典ディスクにも収められているんじゃないだろうか。それくらいの高確率で出会うシーンである。

数秒前まで素の本人の状態でカメラに向かってアピールをしたり、笑いを取りにいったりしている。そんな彼らが数秒後に、なんの違和感もなくキャラクターとしてステージ上で芝居をする。

このスイッチの切り替えは何度観ても飽きることがない。

ときにはバクステ用カメラににこにこ手を振りながら、数秒後思いっきりシリアスなシーンを演じていることもあるのだが、思わず「どうなってるの」とテレビの前で言ってしまうのだ。

ステージ上の芝居で彼らのプロとしての仕事を観せてもらっている。加えてバクステから感じ取れるプロの一面に触れると、なんだか職人の仕事場をこっそり覗き見させてもらったような気分を味わえる。劇場では決して味わえない、円盤ならではの特別な味だ。

円盤によっては、舞台袖のキャストだけではなく、まさにその瞬間本番中のステージ上の様子を袖から覗いているようなアングルで観せてくれるものもある。

これがまた面白い。王道でいえばテニミュのバクステだろうか。袖で待機中のキャストが、カーテンコール曲でステージ上のキャストに手を振っていたり、上手袖と下手袖の間で遠距離ワチャワチャを繰り広げていたり。

バックステージ映像はまさに、特典映像の面白さがぎゅっと濃縮還元されている。「本編さえ観れればいいし」なんて寂しいことを考えずに、積極的に再生してみてほしい。

2. 顔合わせ&稽古風景! ファンサモードオフの推しが見られるレア映像

筆者が個人的にかなり好きなのが、顔合わせや稽古場風景が収められているタイプの特典映像だ。

こちらはキャラクターというよりも俳優が好きな人におすすめしたい。

まず、顔合わせ。とにかく新鮮である。ファンの前に出るときの身なりよりもだいぶフランクな雰囲気で、喋り方もおそらくとても素に近い。

挨拶の言葉からも、「ちょっと人見知りなのかな」とか、「淀みないトークで安定してるな」とか。意外と得る情報量が多い。

稽古場での立ち位置を観ていると、推しでなくともなんとなく「この人はこんな人なのかな」というのが見えてくる。

こうやって一歩俳優に歩み寄れると、次にその人の芝居を観たときに、50cmくらい深いところから演技を感じられるような気がしているのだ。

もちろん完全な一方通行だが、こちらからの距離が少し縮まるきっかけとなる。そういう意味でも、作品を創り上げる過程のキャスト陣の姿を観るのはとても得るものが大きいと感じている。

3.笑いあふれる日替わりシーン! 役者のネタ出しの苦労が垣間見える瞬間

記録映像として個人的に1番ありがたみを感じるのは日替わりシーンの全回収録だ。抜粋などではなく、できれば全公演分を収録してほしい。

全通はしなかったもののそこそこの回数観劇したにも関わらず、観ていない回で推しが日替わりシーンでなにか面白いことをしたらしい。

「よりによって入れなかったこの回で!? 」と観劇後に意気消沈するファンもいるだろう。

そんなファンの心に優しく寄り添ってくれるのが特典ディスクだ。

もしカーテンコールで挨拶をするキャストが日替わりなら、ぜひそれも全パターン収録をお願いしたい。

さらに欲をいうなら、日替わりシーンと呼ばれるシーン以外でアドリブをしている可能性を考えて、全景映像を複数公演分収録してくれると完璧である。

……と、欲は尽きないが、筆者の欲はいったん置いておこう。

日替わりシーンを担当する俳優は、事前のネタ出しなどにかなり苦労するという話を聞く。周りにアイディアをもらったり、せっかく考えたネタが没になったり。そんな苦労を乗り越えて、多彩なネタでいつでも新鮮な笑いを届けてくれるのが日替わりシーンである。

劇場で笑わせてもらってそのまま……というのも、なんだか彼らの努力に対して物寂しい気もする。せめてバクステで彼らの勇姿をまとめて観てみよう。

まさに「舞台は生もの」、その言葉の意味を感じられるはずだ。

バクステで輝く俳優の魅力に触れる、それが特典ディスク

バクステ映像の魅力が少しでも伝わっただろうか。

演じたキャラクターとまったく正反対の個性に出会ったり、俳優の意外な一面に触れたりすることができる。それがバクステの大きな魅力だ。

2.5次元舞台はライビュや配信で観られれば十分、1万円近い値段を払ってまで円盤を買う必要性を感じない。

そんな人もなかにはいるだろう。

しかし、これだけの魅力がつまった特典ディスクが、ほぼチケット代と同等の金額でおまけとして付いてくるのだ。これは実質無料といえるだろう。無料で享受できる最高のエンタメコンテンツ、それが特典ディスクだ。

これを機会に「円盤を買うほど沼ってはいない」と自制をしているファンは勇気を出して円盤を買って、そして心ゆくまで本編と特典ディスクを再生してみてはどうだろうか。

広告

広告

WRITER

双海 しお
 
								双海 しお
							

アイスと舞台とアニメが好きなライター。2.5次元はいいぞ!ミュージカルはいいぞ!舞台はいいぞ!若手俳優はいいぞ!を届けていきたいと思っています。役者や作品が表現した世界を、文字で伝えていきたいと試行錯誤の日々。

このライターが書いた他の記事も読む