コラム

グッドコンビネーションに胸が熱くなる、観客を虜にする「テニミュ」ダブルスペアの魅力

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「テニミュ」ことミュージカル『テニスの王子様』では、毎公演青春学園とライバル校との熱戦が描かれている。

各試合はダブルス2試合とシングルス3試合の計5試合によって勝敗が決まる。

全試合ともコラムが成り立つくらい濃厚な試合展開や熱い人間関係が繰り広げられるのだが、今回はダブルスにスポットを当ててみようと思う。

ダブルスが観客を魅了する理由

あなたがテニミュファンなら、「このダブルスが最高にエモい」と感じるお気に入りのペアが存在しているのではないだろうか?

理由は様々だろう。

原作からそのペアが好きだった。試合展開が好き。

さらにテニミュの場合はそこに「このキャストによるこのペアが好き」というのも加わるだろう。

筆者が考えるこれらの魅力の根底にあるのは“関係性”である。

シングルスの試合の場合、基本的にコートに立つのは1対1。

戦う相手はネットの向こうにいる選手である。もちろん団体戦なので、コート外の仲間の思いを背負ってはいるが、それでもコートには1人で立たなくてはならない。

その点、ダブルスは2人が一緒に並んではじめてダブルスとなる(3人でダブルスをする場合もあるが、3人でダブルスがよく分からない人は関東氷帝戦を観てみよう)。

ダブルスにはペアによって多種多様な関係性がみてとれる。

たとえば青学のゴールデンペア、菊丸英二と大石秀一郎。

彼らの場合は同じ学年で対等な関係性のなか、お互いに無いものを補い合っているペアだ。

スタミナがない菊丸が序盤で疲れてしまったら、大石がボールをひとりで拾って菊丸の充電完了を待つし、大石の肩に力が入りすぎてしまったら菊丸が天真爛漫な言動で平常心へと導く。

劇中でも背中を預けあって座るシーンが印象的な2人だが、プレイスタイルもまさにお互いのことを知り尽くして信頼しあって成り立っている。

ダブルスの場合、この大石菊丸ペアのように試合を通してそのペアがこれまで培ってきた関係性が透けて見えるのだ。

たとえ2人の日頃の関係性に劇中で言及がなくとも、試合をみていれば伝わってくるだろう。

ダブルスの試合はそんな関係性vs関係性のぶつかり合いが凝縮された時間となる。

友情、絆、敬意にLOVEやペテン……。

『テニスの王子様』に登場するダブルスペアは実にバラエティに富んだ関係性で結ばれている。

そのうちのどれか、あなたの趣味趣向に合う関係性を持った男子中学生2人が、真っ直ぐに勝利を目指して汗を流す。

テニスに賭ける青春というそれだけで真夏の太陽のように暑いもとい熱いところに、“関係性”という熱風が加わり、観る者が無視できない熱量を放つのだ。

それがダブルスの持つ関係性の魅力なのだろう。

出会うべくして出会ったダブルスキャスト

テニミュにおいては、ステージ上でのダブルスだけがダブルスではないように思う。

ダブルスペアを演じるキャストたちもまた、そのダブルスの魅力につながっているのではないだろうか。

テニミュが稽古前に本気のテニス合宿をするのは有名な話である。

ステージ上にテニスボールは存在しないが、だからこそ余計にリアルであることが必要だからだろう。

(もちろん合宿をする側面のひとつであって、他にもチームワークの形成や基礎体力の向上などの目的もある)

それだけ2.5次元で作品を表現するにあたってリアルを追求する作品である。

ダブルスペアもまた、そこにリアルな信頼関係が求められることも容易に想像ができる。

ダブルスペアを組むことになったキャストたちのSNSやテニミュ公式のブログなどを追っていると、次第に距離が近づいていく様子が見て取れるだろう。

そういった過程を知ったうえで観る、ステージ上の姿はまた別格である。

芝居だが、その場限りの関係では決してない。

劇中のダブルスペアがそうであるように、演じる彼らもまた数ヶ月かけて積み上げてきた関係性のうえにダブルスペアとしてそこに立っているのだ。

さらにテニミュはキャストのキャリアではなく、いかにそのキャラクター“らしさ”を秘めているかというのも重要視されている。

その基準で選ばれ、ダブルスを組むことになる2人には、どうしてもつい運命めいたものを感じてしまわないだろうか?

ただのペアではなく、そこに育まれていく友情や絆、そして出会うべくして出会った奇跡を重ね合わせてしまう。

実際に、テニミュ出演後もう何年も経っているのに当時のペアの相棒とのツーショットなんかがSNSに上がることがある。

そこに綴られるメッセージからは、彼らがただの共演者以上のなにかで結ばれているであろうことが感じられる(ファンのエゴかもしれないが)。

テニミュ初演から10年以上が経ち、ダブルスのそしてチームの結束力をファンは長きに渡って見つめてきた。

観客側にも、そういった感情の土壌があるからこそ、余計にいま現在進行系でステージに立つキャスト陣にも熱い絆を確信してしまうのかもしれない。

“やっぱりダブルスでしょう!”

越前リョーマもそう語っているように、シングルスの試合もいいがダブルスも捨てがたい。

テニミュのダブルスを一気に楽しめるのが、テニミュのライブ公演『DREAM LIVE』(通称「ドリライ」)で披露される「ダブルスタイム」だ。

各校のダブルスが登場してダブルス曲を歌うメドレーがあるので、機会があればぜひ個性豊かなテニミュのダブルス陣を堪能してみてほしい。

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WRITER

双海 しお
 
								双海 しお
							

アイスと舞台とアニメが好きなライター。2.5次元はいいぞ!ミュージカルはいいぞ!舞台はいいぞ!若手俳優はいいぞ!を届けていきたいと思っています。役者や作品が表現した世界を、文字で伝えていきたいと試行錯誤の日々。

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